新版 活用しよう 労働委員会
〜理論と実践 Q&A〜
発行:2025年6月14日
サイズ:A5判
ページ数:212頁
価格:2500円
送料:実費
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■労働委員会を活用し、職場の問題を解決しよう!
最新の知識を駆使して、労働者の権利と団結を我が手に!
労働委員会とは? 不当労働行為とは?
救済申立てや調査・審問・和解の手続はどうすればいいのか?
審問終結後の闘い方は?
中労委での再審査や命令の取消訴訟はどのような手続きか?
労働委員会での闘いはどのように役立つのか(命令の効力)? ……などなど
日々労働事件に取り組む弁護士が、実践的な手引書として執筆しました。
目次
はじめに
基本のQ&A
第1章 労働者の権利と労働基本権
第2章 不当労働行為救済制度と労働委員会の役割
第3章 誰が誰を相手に申し立てるか
第4章 救済申立てはどのように行うのか
第5章 調査手続にどのように臨むか
第6章 審問手続にどのように臨むか
第7章 和解手続にどのように臨むか
第8章 都道府県労働委員会における審問終結後の闘い方
第9章 中央労働委員会での再審査
第10章 労委命令等の取消しを求める訴訟(取消訴訟)
第11章 労働委員会命令の効力
書式目次
資料目次
おわりに
索引
はじめに
労働者・労働組合にとっての最強の手段は、やはり「ストライキ」です。しかし最近の日本では「ストライキ」という言葉もほとんど聞かれなくなりました。一方、ドイツでもフランスでもアメリカでも、そして韓国でも、様々な課題を掲げて多くの労働者がストライキに立ち上がり権利を勝ち取っています。「日本ではストライキの必要もなくなった?」......まったく逆です。今や非正規労働者は全労働者の40%に迫ろうとしていますし、そのほとんどの労働者は労働組合とは無縁の状態にあります。そして正規労働者の長時間にわたる過重労働、非正規労働者の無権利状態は一層深刻になっています。結局は、日本の労働者は「最強の手段」を使っていないと言えるでしょう。
戦後「労働組合法」(旧労組法)が制定されたのは敗戦の年である1945年12月です。当時のアメリカ占領軍の政策とはいえ、労働組合を積極的に育てることが日本の民主化にとって最重要の課題とされました。1947年には日本国憲法が施行され「勤労者の団結する権利及び団体行動をする権利は、これを保障する」(28条)と謳われました。そして1949年に制定された現在の労組法で「労働委員会制度」が定められました。労働者の団結を阻害しようとする使用者の行為を許さない、不当労働行為をやめさせる、そのための独立した行政委員会の新設です。
本来、労働者の権利は労働現場で自らの力によって守っていかなければなりません。加えて法制度として労働者の救済機関がある以上、これを最大限活用しない手はないでしょう。はたして私たちはこの制度を十分に活用していると言えるのでしょうか?
大阪労働者弁護団は、労働者・労働組合が労働委員会を利用するための手引書として、1993年6月に『労働委員会闘争ハンドブック―わかる、できる労働委員会のノウハウ』を発行しました。その後労組法改正に対応した改訂版として、2007年10月『活用しよう労働委員会―理論と実践Q&A』を発行しました。類書がないこともあり、私たちが想定した以上に活用していただいたようです。
その後労組法の大きな改正点はありませんが、労働委員会規則でいくつかの重要な改正がされてきています。しかしそれだけではなく、この間以前と比べて労働委員会の状況が少し変わってきているように感じられます。いわば、労働委員会が「司法機関化」(裁判所化)しているのではないか、という危惧です。労働者が利用しにくい状況になることを防ぐために、労働委員会をもっと労働者がアクセスしやすい状況を作り出し、労働委員会を真に労働者・労働組合の救済機関として機能させることが重要な課題です。そこで必要なのは、労働委員会をめぐる様々な知識です。正確な知識を持って、労組法・労働委員会規則などをフルに活用して効果的な闘い方を工夫すべきです。労働者・労働組合のために本書の役割は一層重要になっていると思います。
本書においては、旧版の部分的改訂ではなく、最新の状況に対応して全面的に書き改めました。本書が以前にも増して大いに役立てられることを心から祈念します。
2025年6月
大阪労働者弁護団『活用しよう 労働委員会』編集委員会
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